演目「手習子」

演目「手習子」で使われる舞踊傘を納品しました。

舞台では子供がつかうようなので小さい舞踊傘を寸法違いで2種類製作。

製作依頼から納品までの日数が少なく製作工程をパソコンのカレンダーで管理しながらの製作だったのですが予備日が3日・・・・・・・

あっという間に予備日がなくなり全くの余裕のない日々の作業だったので精神的に疲れました。

作業の途中でパッと見た感じでは分からない程度ですが見本の傘と微妙に違う様子になり先方に相談の連絡。椿や梅の花の絵入れは看板屋さんに外注でお願いしたのですが看板屋さんも絵の仕上がりが見本の傘とは微妙に違う様子に心配の様子。

心配する看板屋さんには

「先方にちゃんと説明しておきます。精一杯作業をしていただいたので大丈夫です」

と伝えました。

看板屋さんとは長い付き合いなのでどんな仕事をしているのかは知っていますし安心して依頼ができる看板屋さんです。万が一先方よりクレームが発生した時には全ての責任を背負う気持ちでした。

見本とは様子が少し違う感じの仕上がりは先方に確認していたので安心して作業を進めることができましたが納品は担当の方のご自宅へ発送という納品期日ギリギリでの納品でした。

納品後に先方へ確認の連絡をすると

「昨日のリハーサルは問題なく傘をつかいましたよ」

というお言葉をいただき看板屋さんに伝えると安心した様子。

安心できてよかった。 

現時点で精一杯で製作した舞踊傘が納品できましたので後悔はありませんが、お客さんにとって出来上がったモノが全てです。

出来上がった目の前のモノが苦労したからといって思い入れがあってもクオリティーが良くなるわけでもありませんし気持ちや思いは空気としてお客さんに伝わるかもしれませんが自分の感情に溺れてはプロではありません。

これ以上のことはできないので、これ以上に出来の良い傘は次に製作する傘だと思います。

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髪をカットした。

髪を伸ばしていたのですが思い切って長髪から短髪へ。

1年半ぶりかな?西原村の美容室に行ってきました。

伸ばした髪を切るのにはきっかけが必要です。

今回のきっかけはお世話になっている方からのご紹介をいただきに初見の方々とお会いするようになったからです。色々と悩んで考えたのですが一般的な印象は長髪より短髪の方がいいようですし、長髪でお会いするのと短髪でお会いするのを考えると短髪の方が安心できると自分の中で何かがストンと落ちるモノがありました。

長髪の理由を初見の方々にわざわざ説明するのは野暮な話です。10年前のボクだったら長髪のまま破れたシーパンで会いに行っていたと思いますが、さすがに47歳のおっさんがお世話になっている方からのご紹介をいただき初見の方々と会ったとき印象を考えるとやっぱり短髪です。

という理由で髪をカットしてもらいに西原村の美容室へ行ってきました(お店のサイトはこちら

前回もお世話になった美容室のオーナーさんに連絡すると

「山鹿の方ですよね」

と2年前のことを覚えてくれていたのはうれしかったです。

2年ぶりにお会いするオーナーさんは相変わらずの様子で心地のいい時間を過ごすことができ、カットした髪はヘアードネーションで寄付しました。ヘアードネーションで寄付したのは今回で2回目。

ヘアードネーションは髪の長さが31cmからの受付で1年半だとかなり微妙な長さです。事情をオーナーさんに話すと気持ちよくカットしてくれ32cmの長さの髪をカットして寄付することができました。(ちなみに前回のヘアードネーションは3年間髪を伸ばしました)

本音はまだ髪を長く伸ばしてから寄付をしたかったので次回はもっと長い髪を寄付できるようにがんばって髪を伸ばしたいと思います。

が、前回のヘアードネーションの様子を紹介したこちらのエントリーのようにボクの家系はハゲチャビン家系なので次回は微妙なラインです・・・・・・・・

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蛇の目ずらしを納品しました

蛇の目傘という呼び名が一般的ですが円をずらして製作しているので蛇の目ずらしと呼んでいます。円をずらしたデザインは昔からあって月奴(つきやっこ)と呼ばれていたと聞いたことはあります。

ボクは先代や師匠がいるわけではないので正式な名前は聞いたことはありません。

現在は主に舞踊傘を製作しています。日常生活で使う番傘や蛇の目傘や日傘は半分は諦めているのですが残りの半分は必要とされる方がいらっしゃるので製作しています。

今回は一般のお客さんからの製作依頼で1年ほどの長い時間を待っていただきました。過去に製作した蛇の目ずらしを見ていただき購入のご希望ということで製作。

おひとりの方は俳優さんにプレゼントされたようです。舞台で使っている写真を送っていただきました。打ち合わせではワクワクするような感覚になり不思議な感じのやりとりで納品後はお客さんも喜んでいただき安心しました。

もう1本は数年前に購入した蛇の目傘の仕上がりに不満があるとのこと。購入した蛇の目傘を持ち込まれたので見せていただきました。購入店の名前は伏せますが仕上がりに不満があり張替の依頼や新たに購入していただくという今回のようなケースのような依頼がたまにあります。

とても残念な話です・・・・・

製作は2本の依頼だったのですが在庫確保のために製作本数の追加。

在庫を確保しようと思ったのですが5年前に購入していただいたお客さんの再購入。さらに、もう1本は張替依頼のお客さんが購入してくれました。ちょっとの押し売り感に罪悪感を感じていたのですが納品すると両方のお客さんからお礼のメールをいただき喜んでいる様子で安心しました。

最近の仕事についてちょっとだけ。

コロナ禍による仕事の激減。世の中を見ていると最初は人に関わる対人関係の仕事の方々に大きな影響がある様子。人に関わる対人関係の仕事に大きな影響があるので次第にモノに関わる対物関係の仕事の方々にも同じように影響が。実際にモノつくりの方々の話を聞くとやはりコロナ禍の影響による仕事内容の変化はとても大きいようです。

このまま仕事が無くなってしまってもいいんじゃないかという思いで数ヶ月を過ごしていましたが数日前に数ヶ月ぶりの舞踊傘の製作依頼をいただきました。まだ世の中から必要とされているようなのでボクは和傘を製作していますが沈みかけた船にいつまでもしがみついて溺れ死にたくはありません。社会という大きな海を小さな自分の船で進み続け見たことのない海の向こうの景色を見たいです。

そんなことを取り返すことができない毎日の積み重ねの数ヶ月間で感じていました。

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番傘の納品とか

番傘を納品しました。

デザインは先方からの指定があったので
絵入れは妻のサッコに依頼。

時給は1000円。

今回は梅雨という季節もあり防水油が乾燥するか心配でしたが
無事に納品も終わり安心しました。

別件では日傘を購入していただくお客さんが続き
在庫がない状態に。

日傘については過去のエントリーでも紹介していますので気になる方は見てみてください。

ここ数ヶ月間は新型コロナウィルスの影響で舞踊傘の製作依頼がありません。
新型コロナウィルスが発生してからの世の中を見ていると
和傘ってやっぱり世の中にとっては不必要なものなんだなと考えていました。

でも、そんな世の中でもボクの製作する和傘を求めてくれる方がいらっしゃるので
ボクは和傘の製作をしています。

「戦争はしたらいかん」
「戦争をして一番いらんもんが和傘や」
「平和やから舞踊とかお祭りの傘がいるんや」

と教えてくれた職人さんの言葉を思い出しました。

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ひわ日傘(グリーン日傘)

ひわ日傘(グリーン日傘)を納品しました。

「屋敷娘」
「新鹿の子」

という演目で使われるそう。

依頼があったのが2009年7月で
材料手配やこちらの作業の遅れで大変お待ちいただくような形になり
申し訳ない気持ちでいっぱいです。

色見本を送って何度か打ち合わせをしたあとに
ビーカーテストではうまくいったので安心していたのですが
染色後に作業していると黄色の染料が少し浅くなっていることに気がつき
自分の中で消化するのに時間がかかりました。

さらに仕上がりが自分の思っていたような仕上がりにならず消化不良の日々。

どうしても気になるのでこちらから先方に連絡して
気になっていることを正直に話しました。

翌日に連絡があり

「仕上がりも色も大丈夫ですよ」

という言葉をいただき消化不良な日々から解放された感じにはなったのですが
自分の中に少しのモヤモヤ感がまだ残っています。

次回があるのかどうかはわかりませんが
次回はこういう気持ちになりたくはありませんし
作業が終わって請求書を作成している時には
自分自身で納得がいくように納品したいと毎回請求書を作成するときに考えています。

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3時間とか4時間で

座ってナンボの仕事をしているのですが
飛行機や新幹線や自動車を使って出張に行く時もたまにあります。

出張の時には目的地に3時間や4時間くらいで到着する便利な世の中だなぁ〜
といつも思っています。

しかも日本中へ移動可能。

もちろん便利なモノってお金がかかって

「時間をお金で買う」

っていう感覚はわかっているのですがお金で買えないモノっていうのも間違いなくありますね。

3時間や4時間という時間は仕事ではあっという間に過ぎてしまい
ボクは1人で仕事をしているので3時間や4時間で出来る仕事の量はとても少しで

「なんだかとても効率の悪い仕事をしているんだなぁ〜」

と出張での移動が終わるといつも感じます。
きっと1人で仕事をしている人はみんな同じ感覚なんだろうけど。

3日前の日曜日に思い切って仕事をサボって久しぶりに釣りに行ってきたのですが
とてもいい気分転換ができました。

「思いを切る」

って意外と難しいのですが思い切って海に釣りへ行って本当に良かったです。

最近の仕事のこと。

番傘を納品しました。

あと、日傘。
材料の関係で次回の製作は未定です。

写真ではわかりにくいのですが番傘や日傘は柄竹を虎柄にしているのが特徴です。

演目「雪」で使われる舞踊傘。
過去のエントリーで何度か紹介した舞踊傘です。

最近もなんだかんだと慌ただしい日々が続いています。

がんばれオレ。

そんなこんなの最近のこと。

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雪の傘と黒蛇の目

演目『雪」で使われる舞踊傘を納品しました。
過去のエントリーでも紹介していますがロクロという木工部品が特徴的な舞踊傘です。

納品も終わり安心していたのですが
同じ演目「雪」で使われる舞踊傘の再製作依頼でうれしい悲鳴。

黒蛇の目(者)の納品も無事に終わって安心しています。
特に問題もなく納品完了。

先鋒から電話で連絡があり

「お支払いの件なのですが・・・・」

と歯切れの悪い言葉を聞いて嫌な予感が一瞬したのですが
こちらの事情を伝えると了承してくれて
お互いの意見が食い違うことなくお互いの意見が無事に着地してよかったです。

来春?にサンフランシスコ公演が控えているそうで
その際に使用する舞踊傘の打ち合わせをしました。

最近は納品が遅れ気味なので慌てずに急いでがんばります。

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番傘を納品しました

製作依頼が2018年8月だったので
1年4ヶ月という長い時間をお客さんに待たせしてしまいました。

こちらの都合で納品までに長い時間をお待たせしてしまい反省しています。

実はお客さんとは18年前に知人を通じて紹介してもらい
当時のボクは和傘を製作していなかったのですが名刺をいただいていました。

お客さんがウチに来てくれて打ち合わせをする前に過去のことを話すと忘れている様子で
ボクが18年前にいただいた名刺を見せるとお客さんは受け取って

「それでは改めてよろしくお願いしまします」

と言って名刺に携帯電話の番号を書いてくれたので改めて名刺を受け取りました。

それから進捗状況などの連絡の際に電話を何度かかけたのですが

「吉田さん」

と先ず声をかけてくれ毎回電話を受けてくれたことや
電話以外にも手紙やFAXでやりとりをしたのですが
お人柄というか気遣いや心遣いが印象的でした。

納品は大分まで行ってきたのですが
ロビーの雰囲気はもちろん外観やスタッフの対応や納品の際の会話にオーナーのお人柄がでていて
人柄というモノは会話や環境にも現れているんだなぁ〜と再確認でき
お客さんとは3回しかお会いしていないのですがお会いするたびに影響を受けるような方でした。

ボクは雨の日に使う和傘の製作を半分は諦めていますが
残りの半分はこういったお客さんのためにボクは番傘を製作しています。

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最近の作業

傘の骨を染色して傘の骨を束ねる竹ひごのようなモノを製作しました。
傘の骨は化学染料で染色。
染色でもそうだけどモノツクリは下準備というダンドリが大切だといつも痛感しています。

傘の骨を束ねる竹ひごのようなモノは
断面が丸型だと不都合なので断面は四角形で製作します。

断面が四角形だと傘の骨を束ねて整えるときに都合がよく製作する時に効率がよいのです。

竹の皮は剥がずに皮を薄く残して片刃の小刀で竹を薄く削り
両端の片方は竹の節の部分を残して反対側は先を尖らせておきます。
太さは松の葉より少し細いくらいです。

節が残しているのは通り抜けないようにするためで
反対側を尖らせているのは傘の骨の穴に通りやすくするためです。

2時間くらいで完成。

本来は傘骨屋さんが傘の骨を束ねて整えるために製作するものなんだけど
傘骨を梱包したり作業をしているときにどうしても折れてしまうので
1年に1度くらいの頻度で製作しています。

日本全国にいる傘屋さんはみんな製作することができるんじゃないかな。

ボクが製作したモノは傘骨屋さんが製作したモノと比べると
均一性がなくボクが使用する分には問題ありませんが
いわゆる手先の器用な兄ちゃんが作った感じの仕上がりです。

こんな感じで傘の骨を束ねて整えます。

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13年前と変わったこと

13年ぶりに坂東玉三郎さんの八千代座公演を鑑賞してきました。
13年前に鑑賞した時は妻のサッコが長男の峻平を妊娠していたときに鑑賞したのを覚えています。

平成18年と令和元年の坂東玉三郎八千代座公演のプログラム。

13年前と変わったこと

・家族が5人になったこと
・ボクの製作する和傘を求めてくださる方が世の中にいらっしゃるということ
・和傘製作に従事する職人さんが減ったこと

13年も経つと

「まぁまぁおっさん」

になり外見は変わりましたが大きな自分自身の大きな変化はないような気がします。

自分自身に大きな変化はないと言っても少しずつ世の中は進んでいて
目に見える変化だったり目に見えない変化だったりで
13年前と現在を比べると間違いなく世の中は変わりましたね。

変化を否定しているわけではありませんが
ボクは海や山や川のように大きな変化を求めず
海や山や川のように少しずつ自然に変わっていきたいです。

10年前の写真。

たまに作業場へ遊びに来ていた長男の峻平の写真ですが
最近は用事があると

「お父さん仕事中にごめん」

と言って2階の作業場へ上がってきます。
そういえば慣れてしまって忘れていましたが

「お父さん」

といつの間にか呼ばれるようになったことも13年前と変わったことです。

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