「あやめ」

「あやめ」という演目で使われる舞踊傘を納品しました。

写真では色が伝わりにくいのですが
紫に赤みがかった色です。

「あやめ」を漢字で書くと「菖蒲」ですが
「菖蒲」は「しょうぶ」とも呼び菖蒲色(しょうぶいろ)という日本色もありますが
あやめ色はしょうぶ色とはまた違った色になります。

なんだかややこしいので本より直接引用。

あやめいろ「菖蒲色」

菖蒲色と表記された色名には
「しょうぶいろ」と「あやめいろ」と2とおりある。
サトイモ科の菖蒲(しょうぶ)とアヤメ科の菖蒲(あやめ)が
昔は区分されないまま同じ漢字があてられたからこうなってしまったのこと。
襲(かさね)の色目に「しょうぶ」の色目があり表青、裏紅梅とされてあるから、
色名としては「しょうぶ」のほうが古いが、
「あやめ」は「しょうぶ」の古名とのことなので花の名前としては「あやめ」が古い。

江戸時代には「あやめ」の音が美しいことからこちらが好まれるようになり、
菖蒲には「あやめ」の名前がよく選ばれるようになった。

もちろん表す色も違ってくる。江戸後期の染色の色や文様の手引き本には、紫系の染色で
「藍がかちたるを桔梗といい、赤みがかちたるを菖蒲(あやめ)といふ」と説明されている。

平成25年5月31日発行 新版 色の名前507(P.232)より   著者 福田郁夫

色見本を製作して先方と打ち合わせをしたのですが
ボクが思っていた色よりも濃色の見本を先方が選んだので
理由を尋ねてみると

「舞台では濃色の方が綺麗だと思ったからです」

というお返事をいただき納得できました。

「鷺娘やの演目のように
 演技中に雪が降っている場面があるからボカした感じの傘を使うのですか?」

とさらに先方に聞いてみると

「あやめ」という演目に使われる舞踊傘は
昔は蛇の目傘で演技していたらしく
蛇の目傘からボカした感じの舞踊傘になったのは
長唄が音楽でいうとオーケストラのような感じで
ハッキリとした図案の蛇の目傘よりボカした舞踊傘の方が綺麗だということで
「あやめ」の演目ではボカした舞踊傘が使われるようになった。

という返事をいただき
とても勉強になり感心しました。

納品は無事に終わったのですが
はじめて使った色で製作者としては少し心配だったので
先方に電話で確認してみると

「ベリーグッドです」

というお言葉をいただき安心することができました。

江戸時代には「あやめ」の音が美しいことからこちらが好まれるようになった

と直接引用した本にも書かれてあるけど
目に見えないモノに対しての感性が豊かな方には憧れますし
そういう人になりたいです。

webサイトでも写真を紹介していますので気になる方はこちらよりどうぞ。

All photograph is taken by Sony DSC-RX100.