喜撰の大傘の修理

演目「喜撰」の舞台でつかわれる舞踊傘の修理が終わりました。

修理した喜撰の大傘は
一般的には見かけない舞踊傘で
めずらしい寸法のつまおれ傘でした。

現在は製造されていない部品の交換が修理の際に必要でしたので
特殊な加工で部品を製作して交換。

壊れた部品の交換以外にも
あれもこれもと修理や修繕をしたのですが
ほぼ新品同様になりました。

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A photograph is taken by Sony DSC-RX100.

つまおれ傘の修理と張替(3尺5寸70軒と3尺60軒)

つまおれ傘の張替が無事に終わり納品しました。

正式名称は「儀典用端折長柄傘」というそうです。

まずは3尺5寸70軒のつまおれ傘の修理と張替について。

愛知で製造されたとても大きなつまおれ傘のでした。

とても大きなロクロや傘骨で木柄も特徴的で珍しく
仕上がりもとてもきれいなつまおれ傘でした。

今回の修理内容。

親骨(外側の傘骨)のつまおれの骨折が9ヶ所。
小骨(内側の傘骨)の折れかけが2ヶ所。
天ロクロと手元ロクロの目欠がそれぞれ1ヶ所ずつ。

つまおれの骨折は新たにつまおれを製作して継ぎ直して
小骨(内側の傘骨)は和紙で補強しました。

ロクロの目欠については
目落ちした箇所をエゴノキで継いで和紙で補修。

木柄と継柄は漆の大きな剥離もなかったので現状のままアルコールで磨き上げ
真鍮製の部品については研磨剤で磨き上げて新品同様に。
藤については新たに巻き直しました。

和紙は厚手の和紙で張替。

和紙を防水油で防水加工をして
傘の補強と装飾を絹糸で施し
布製の傘袋にいれて納品。

つまおれ傘は天満宮の神幸祭でつかわれるそうで
壊れて破れていた
つまおれ傘が新品同様になり
宮司さんはとても喜んでくれ神前へ納めていただきました。

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次は3尺60軒のつまおれ傘の修理と張替について。

40年前くらいに製作されたつまおれ傘で
京都か岐阜で製造されたつまおれ傘でした。

今回の修理内容。

つまおれの骨折4ヶ所。
小骨(内側の傘骨)の補修23ヶ所。

つまおれの骨折は前述した3尺5寸のつまおれ傘と同様に
つまおれを新たに製作して継ぎました。

小骨(内側の傘骨)については交換を考えましたが
骨折しているような状態ではなく目欠でしたので
和紙で補修しました。

ロクロや木柄、継柄は漆の大きな剥離や破損が見られなかったので
アルコールで拭きあげて仕上げました。

藤は切れていたので新たに藤を巻き直し
真鍮や銅製の部品については研磨剤で研磨したので新品同様になりました。

和紙は厚手の和紙で張替。

和紙を防水油で防水加工をして
傘の補強と装飾を絹糸で施し
布製の傘袋にいれて納品。

このつまおれ傘は野点の席でつかわれるそうです。

納品に行ってきたのですが
学校の生徒が製作したお茶碗でお抹茶がいただけるそうで
お抹茶をいただいた後はつかったお茶碗もいただける
というお茶席に使われるということでした。

学校で行われるお茶席が終わってからも
このつまおれ傘は先生の自宅でのお茶席で使っていただけるそうです。

こちらの話も嬉しいかぎりです。

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今回のエントリーでは作業内容についての写真を公開していませんが
こちらのエントリーでつまおれ傘の修理と張替の作業工程の写真を公開しています。

傘屋 崇山 Kasaya Souzan では他店購入分の修理、張替は受付していません。
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傘を見せていただき診断した後に
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